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畠山 丈洋
代表取締役(2021年就任)

1985年 大学卒業後、ソニー株式会社に入社。
以降、ミスミグループ本社 執行役員、ニトリホールディングス 執行役員を経て、ファンド投資会社 代表取締役、中小規模企業の取締役等を歴任。経営再建や成長企業創出に従事。
2021年8月 GEクリエイティブ 代表取締役に就任。

経営者ではなく「経営のプロフェッショナル」を目指す

私の”転機”を振り返ると、新卒で入社したソニー株式会社を辞めた瞬間が大きな節目になったと感じています。
当時は国内向けの商品開発やマーケティングに携わったのち、海外駐在も10年程度経験しました。

ソニーマレーシアで社長を務め、順風満帆なキャリアそのものだったかもしれません。
ただ、そんな中で漠然と「このままでいいのか」と思うことがあったんです。
決まったルートに乗って、運命に身を任せる10年を過ごしていいのか、と。
そんな閉塞感を解消するため、自分自身の成長のため、転職をしました。

「経営者」というのも一つの「技術者」だと私自身考えております。
自身のプロフェッショナルを磨き、経営者としての技術を高める日々に身を投じたのです。

ミスミグループやニトリホールディングスをはじめとした大手企業での役員経験を積み、50代に入ってからは中小企業の再建にも携わってきました。

そんな経営のプロとしてのキャリア形成をする中でたどり着いたのは、「当事者」として会社の成長に寄与したいという純粋な気持ちでした。
そして2021年8月、株式会社GEクリエイティブに代表取締役として就任し、新たなスタートを切ったところとなります。

GEクリエイティブで感じた可能性

まだまだ社員規模も小さく、DX、AI、IoTなど更なる盛り上がりを見せるこのIT業界において、GEクリエイティブは決して目立つ存在ではありません。
そんなGEクリエイティブの経営を引き受けようと決意できたのは、「成長ポテンシャルがある」と確証を持つことができたからです。

今まで数多くの企業で経営の経験を積みましたが、GEクリエイティブに対して最も印象的だったのは、20代の若い社員が活き活きと働いている姿。
向上心が強く、成長意欲も旺盛、自発性や当事者意識も高い…本当に優秀なスタッフばかりです。
業界自体が激しく動き、成長していく中で、そんな若い力は大きな財産だと捉えています。

そこで経営基盤を見渡すと、GEクリエイティブの顧客基盤は盤石で、大手企業との直接取引の実績もあります。
小規模な組織運営をしていた中で、驚くべきことでした。

ただし、今までは新卒採用に力を入れていたこともあり、中堅層やマネジメント層を任せられる人数が少ないことも事実。

数多くの会社の経営を見届けてきた私が、これらの状況を見て感じたのは、「この歯車がかみ合わせれば、大きな飛躍が見込める」という確信じみた可能性でした。

具体的には、「戦略的経営」と「人材育成」。
この二つを推進すれば、GEクリエイティブの成長は間違いなく実現できると感じたのです。

人材育成のプラットフォームづくり

人材育成という観点において、会社がサポートすべきことは、その人の志向性や現在のスキル感に応じて異なると思っています。

例えば、まだ年齢的にもキャリア的にも若いメンバーには、様々な領域や新しい技術にチャレンジし、視野を広げられるような環境整備や、自分自身の「やりたい」にとことん向き合う機会提供が有効かもしれません。

中堅層には、より上流の工程に挑戦していただいたり、より大きな案件に携わっていただいたりと、「キャリアアップ」を叶えられるように配慮することが必要かもしれません。

もしくは、ご活躍とご意向次第で将来的にマネジメントや経営層としての道筋を用意したり、はたまた技術者として第一線で活躍したい職人気質の人にはプロフェッショナルとしてのミッションを用意したり…。

その人にとっての「成長」は人それぞれですし、それは会社がレールを敷いて決め付けるものではありません。
そうではなく、個人の成長を全面的にサポートし、とことん社員と向き合い、小さな意見も吸い上げながら「社員の望むキャリア」を描けるようにしていきたいと考えております。
極端な話、会社を「利用」してくれたっていいわけです。

IT業界の最大の財産は「人」であり、一人ひとりの成長が積み重なって会社の成長にダイレクトにつながります。
会社に入ってくれた方の成長を全力で後押しし、会社自体を「人材育成のプラットフォーム」として提供したいと考えております。

今後やってみたいことについて

戦略的経営という点では、「スマートファクトリー・ソリューションカンパニー」を目指しています。
AI、IoTといった新しい技術に戦略的に投資を行い、工場の自動化や匠の技の継承をはじめとした、製造業向けのDX化に強みを作っていきます。

日本は世界的に生産性が低いと揶揄されますが、他国と比べても中小企業の割合が非常に高いという特徴があります。
大企業が中小企業を飲み込んでいくと、それはそれで生産性は上がるのですが、そうではなく、中小企業向けのスマートファクトリー化を促進することで、業界を活性化していきたいという想いを抱いています。

今まで戦ってきたクラウドやモバイルといった「既に出来上がったマーケット」には需要もたくさんありますし、もちろん手を緩めるというわけではありません。
しかし、優勝劣敗が決まっている厳しい環境であることには変わりないと思っています。
既存の技術を高めるだけでなく、今からマーケットが広がるような新しい分野に率先して切り込み、試行錯誤をしながらトレンドを創り上げていくことが大切だと捉えており、そのためにも人財育成については惜しみない投資を行っていきたいと考えております。

将来的にはITリテラシーや経営理論を学ぶ場である「GE大学」を設立したいと構想しており、その実現に向け、まずは「社長寺子屋」をスタートしました。
私自らが講師役を担い、経営戦略、財務、組織などの経営理論全般をワークショップ形式で学ぶ…
いわば、独自のミニMBAです。

私はエンジニアではないので、プログラミングなどの技術的なことは教えることができませんが、過去の経験を通じて経営に関することは伝えることができるのではないかと思ったのです。

この「社長寺子屋」は強制参加ではなく、希望者のみが対象です。
スタートする前はどうなることか想像できなかった部分がありましたが、結果として想像以上の数の社員が参加を希望してくれました。
まさにうれしい悲鳴ですね。

意欲旺盛な社員たちの反応に、確かな手ごたえを感じた瞬間でもありましたので、早期にIT技術に関するプログラムを立ち上げる計画をしています。